Automatic Dream
まぁ良い、めくれと言われて、めくらない訳にもいくまい。

さぁ、ハガキよ。大人しくめくられてしまえ。抵抗は無駄である。

…………。

……などと一人で盛り上がってしまっている俺は、傍から見ればかなり痛い感じなのだろうか。

直ぐさま自己嫌悪に陥り、今すぐ首吊り用のロープでも探しに彷徨いたい気分だが、それよりもだ。

ここまで盛り上がってしまったからには、めくらず死ねる訳も無い。ってかその程度で死ぬ程、俺はガラスハートでもない。

という訳で、前置きが無駄に長くなったような気が……と言うか、確信を持って無駄だったと言える前置きが長くなりましたがが、めくります。

ペリリ……。

ハガキは、長い前置きに比例して、剥がす時にすごい音がするとか、中には虹色世界が広がっているとか言う事も無く、馬鹿みたいにあっさりと剥がれ、その面積を倍に増した。当たり前ではあるが。

しかし、ただ倍になったと言う訳では当然無く、中には何やら書かれていた。

それを見て、半ば愕然としながら俺は、先程見たばかりであり、宿題の事を思い出した辺りで海馬の隅っこのほうに追いやって、ほとんど忘れていたに近い映像と音声とが、頭の中でぐるぐる回転し始めた事に気づいた。

「地図……か」

そう呼ぶのが最も相応しいのでは無かろうか、と言うものが書いてあった。


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