想い日和 <短>
私と木村の関係は、よくアニメなんかでかみる、
いわば、学級委員とお調子者的な関係だ。
私達は、たまたま偶然一緒になっただけの、本当にただのクラスメイト。
もちろん、不本意ながら、口うるさい学級委員役が私で、お調子者が木村。
見た目も中身もそのまんまガキで、よく私に突っ掛かってくるアイツ。
今時、小学生でもしねーよっ!と、ツッコミを入れたくなるのを通り越して
口から飛び出す文句を、深いため息に変えてしまうほどの、子どもな奴。
そうだ。
嫌いとか好きとか、そんな次元の問題なんかじゃなくて
私達は、ただの喧嘩友達。
今、この瞬間までは
確実にそうだった。
――ヤバッ。
しばらく見入っていた自分にハッとする。
……駄目だ。
絡んだら、どうせまたいつもの喧嘩になる。
そんな無駄な労力使わなくていいよ。
うん。
気付かれないうちに、さっさと立ち去ろう。
ほら、お腹も空いたし、寒いし……
私は、マフラーの中にギュッと顔を埋めて、片側に引いていた自転車にまたがった。
それから、そのままひとこぎ。
ペダルを踏み出すだけだった。
……だけだったのに――