想い日和 <短>
……本当、単純な奴だよなぁ。
「バーカ!違うよ。セリフが臭いっつってんの。似合わなぁい」
「はぁ?超いい言葉だっただろ」
「有り得ない。プンプン匂ってきたわ」
そうやって私は、鼻を摘んで見せた。
「またまたぁ!そんなこと言って……」
「な、何よ?」
木村の不敵な唇に、思わず、私の唇も歪んだ。
「お前ぇ……今、“木村、ちょっとカッコイイかも。はぁと” とか思ったりしただろ?」
「……」
……ニヤついたアホ面。
おそらく、汗を拭った時にでも付いたのだろうか。
一面大雪のここで、どうやって付けたのかわからない、
赤茶色をしたグラウンドの土が、木村の頬に滲んだ線を描いていた。
……本当にバカ。
コイツは、救いようのないバカだ。