想い日和 <短>



―――――――――――・・・・・・・・
――――――・・・・・・・・
――――・・・・・・



「……ってアンタ、そんだけ!?」

「そうだけど?」


話し終えた私に、千波は何故か目を丸くして驚いている。



「アンタ、それだけで好きになったの?それがキッカケ?」

「……そうだよ。悪い?」


途端“あーあ”と、ため息の領域を越える程の大きな息が、千波の口から漏れた。



「私……知らなかったわ」

「何が?」

「まさか、アンタがそんな単純な奴だったとはね……」

「何それ。褒めてんの?けなしてんの?」

「感心してるのよ」


明らかにあきれたご様子。



「……どーだか」


私は、少し膨れて千波を見返す。



「でもま、よかったんじゃない?」

「何が?」

「木村、この夏レギュラー取って活躍してたみたいだし」

「……」

「夏美……?」

「……そうみたいだね」

「何?どうかしたの?」

「……うん。実はね――」


この話には、まだ続きがあったのだ。



あの時、憎まれ口を叩き合って、少しだけ素直になった私達は

1つの約束を交わしていた。


些細で、雪と共に溶けていったとしても不思議じゃないような

8割冗談まじりの約束――



―――――――――――・・・・・・・・
――――――・・・・・・・・
――――・・・・・・





< 15 / 31 >

この作品をシェア

pagetop