想い日和 <短>
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「来年の夏、オレがレギュラー取ったらどうする?」
「いや、3年なんだから普通に考えて取る確率の方が高いっしょ」
「もーう!いいから!どうする?」
「……まぁ、何か1つだけ、言うこと聞いてやってもいいけど?」
「マジで!?よっし!約束だから!」
甘いかな?と思いつつも、自分の中に住む女の子な部分に
私はスッカリ負けてしまった。
だけど、可愛い女の子のままでいられないのが、私。
「それにしても……アンタもちっさい男だねぇ」
「なんだよ」
「甲子園行ったら……とか、もうちょっとカッコイイことは言えないわけ?」
「バーカ!いいんだよ!オレが欲しいのはこの約束なの!だから理由は気にしないし」
「何がそんなに欲しいの?」
「……言わねぇ!」
「……ふーん」
木村は、チラリと私の瞳の中を見据えたかと思うと、すぐに俯いてしまった。
暗い真冬の夜は、グラウンドのライトがあっても
木村の顔をよく見せてくれなかった。
なんだか……
覗いちゃいけない気もした。