想い日和 <短>
――2月13日
小雨のちドシャ降り。
ポタリポタリと足音を立てる雨。
やがて午後になると、窓の外には透明の大粒が張り付いて
パチリパチリと、線香花火が弾けるみたいな音を、ガラスと共に奏でていた。
ガラス越しに、そっと指先で触れてみたその雫は
ヒヤリと冷たくて……
私の心を震えさせた。
こんな大雨の日……
10年前の私だったなら、わざと水たまりに飛び込んで、はしゃいでいただろうに。
昔みたいに、無防備に泥だらけになる勇気もない私は
いつしか、なるべく濡れないように、と気をつけることを覚えた。
それでも、傘の隙間を縫って肩に染みる霧雨みたいに
この雨も、私の心にひんやりと染み込んでくる気がしてならない。
曖昧で
ぼやけた
ちっぽけな私の中に――
もしかしたら
この大粒たち……
明日は雪に変わるのだろうか?
変わるかな?
変わればいいのに……
……ううん。
やっぱり……
変わらなければいい。
だって
この雨粒に紛れて
思い切り泣けるから――