想い日和 <短>



「鞄の中に入ってるそのチョコが何よりのアンタの決意でしょう」


どうして千波が、私の鞄の中身を知ってるのかなんて、全くわからなかったけれど

鞄を指さして、優しく微笑む千波の言葉は、私の中に染み渡る。



「一度決めたら絶対折れないっていうか、諦めが悪いっていうか…

それがアンタの、唯一の長所でしょ?」

「……ねぇ、千波。一応聞くけど……それって褒めてる?」

「んー……微妙?」

「もぉ!バカぁ」


慣れた会話に、思わず笑ってしまう。

一緒に心も軽くなる。



「そういや、それ、言われたの二回目だわ」


確かに、聞き覚えのあるセリフだった。



「もしかして、木村?」

「え?なんでわかったの!?」

「さぁ?」


相変わらず、嫌味たっぷりの含み笑い。

だけど必ず、心地よい決意を運んでくれる。




――今日は晴天。



雨じゃないから

思い切り泣けないと思う。



曇りじゃないから

俯いて歩くには似合わない。



雪じゃないから

何か奇跡が、起こりそうな予感だって到底しない。




グラウンドは、茶色一色。

太陽の陽射しは、柔かく私の目の前で揺れてる。




それでも今日は


――2月14日……




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