想い日和 <短>
Whity
「木村!ちょっと話……話があるんだけど」
――放課後。
木村の周りに群がる、何人かの男子達なんてお構いなしに
私は、その中を一直線に割って入って、木村の前に立っていた。
というより、今の私には木村以外の景色なんて、目に入らなかった。
木村の周りなんて、色褪せた白黒みたいにぼんやりした影みたいに。
別のことに気を取られてる余裕なんて、あいにく、持ち合わせてなどいなかった。
私の視界も
私の頭の中も
私の胸のドキドキも……
何もかもが、木村なんかのことで
いっぱいいっぱい過ぎたから――
「……わかった」
……あれ?
いつもなら突っ掛かってくる木村も、今日は少し変だった。
私が変だからかな?
気付いちゃったのかな?