想い日和 <短>
「何で?聞いてくれるだけでいいから……」
「駄目!絶対駄目!」
「そんな……」
完全な予想外だった。
私の頭の中では、この一言を伝えるための台本が、出来上がっていたのに……
何度も心の中で反芻させる二文字。
こんな事態にアドリブなんてきかせられないよ。
……だけど――
たとえ木村には迷惑だろうと、私は……
この気持ちを伝える!
“一度やると決めたことは、絶対貫き通す”
そうだ。
その頑固さが、私のいいとこなんだ。
木村がそう私に言ったんだから。
木村に褒められるなんて滅多にないから……
私、よく覚えてるんだからね。
「聞くだけでいいから……聞いてほしいの」
「……」
「……駄目……なの?」
「……」
……ショックだった。
正直、ここまでの拒絶はいくらなんでも考えてなかった。
“恋愛対象に見れない”
そんなどこかしこでよく耳にするような、当たり障りのない答えなら、覚悟はできていた。
なのに……
気持ちすら伝えられないなんて――
参ったな。
私、結構強い方なんだけど……
さすがにお手上げだよ。
……ヤバイ。
泣きそう。
目が……
痛いかも――