想い日和 <短>

だから聞かせて?


ポケットに隠れてるものも、一気に溶かしちゃうような

とびっきりの言葉を――




「あぁ!もうっ!……きなんだよ」

「え?」

「好きなんだよっ!お前が!…ずっと前から。一年前のあの日よりも、ずっとずっと…ずっと前から――」

「木村…」

「言わすなよ…マジ恥ずかしいし」


嘘……


……嘘じゃないけど、嘘みたい。



夢みたい――

私の完全な負けだ。


恋は盲目って言うけど、今の私には、木村のなんでも、カッコよく見えちゃうよ。



飾りっ気のないその頭も。

だらしない制服も。



だけどそれでも……

素直になれないのが私。


木村が好きだと言ってくれた、私。



……そうでしょう――?



「はぁ……」

「な、なんだよ」

「ダッサイ告白!あーあ。初めては、もっとカッコイイ人に、もっとトキめく言葉でされたかったわ」

「う、うっせーよ!」


唇を尖らせて、睨む木村。



……バーカ。


緩んでるよ。

アンタの頬っぺた。



だらしない顔。

きっと、私も同じ顔。



私達って――

「本当……バカだね」

「は?」

「なんでもなーい」

「どうせ、バカだよ」



――でも最高!



< 29 / 31 >

この作品をシェア

pagetop