想い日和 <短>
「あのね――」
「何?」
「私も好きだよ」
「えっ――」
「バーーカ!」
「ふんっ!ほんっと可愛くねぇ奴!」
「へへへー」
ニヤッと笑い合ったバカ丸出しのアイツと私。
乱暴にポケットから引っ張りだされた私の手。
絡んだ指先は二人とも冷めた過ぎて、暖め合うには役不足。
ねぇ、木村――
アンタの鼻の頭が赤かったのは、寒さのせい?
ほっぺが赤かったのも寒さのせい?
耳が赤かったのも寒さのせい?
このチョコは、後で渡すとしよう。
今は、せっかく繋いだ手を離すのがもったいないから……
もう少し、溶けないで待ってて。
「あ……」
「……雪?」
「粉雪だ――」
真っ白でふわふわな雲が浮かぶ、こんなに晴れた日なのに。
「もしかして、オレ達の祝福かな?」
「あのさ、前から思ってたけど……アンタって本っ当……」
「な、なんだよ」
「くっさいよねー」
「……ほっとけ」
もしもこの雪が、一面に積もって
この白いチョコが似合う真っ白な世界を作ったら……
今度はちょっと可愛く渡してみようかな。
意地っ張りな上に口の悪い私だから……
うまくはいかないだろうけど……ねっ!
*FIN*