犬神さまのお嫁さま
 ギャアギャア騒ぐ私とママに希彦は愁傷そうな台詞を吐く。
 それが余計に腹が立つ。

 なんだってうちに潜り込んでんのか意味が分からない。

 それにママもなんでこんな奴を家に上げてんの?


 私の中で沢山の否定の言葉が生まれそれを次から次に言葉にしていく。

 その沢山の言葉をママは「我侭言わないの」と一蹴した。そして――



 「ああもう、楓ちゃん、そこに座って!今から聞くも涙語るも涙な話をしてあげるから!」



 らちの明けない言い争いに終止符を打つ為にママでそう言い切るとダイニングテーブルの椅子を指差した。
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