犬神さまのお嫁さま
 なんと表現したらいいか…焦っているような。
 なんとなくだけど前の時ほど余裕が感じられない。

 自信満々に振る舞う希彦らしくない、不安を誤魔化すようなキスが違和感となりしっかりと頭の中に居座る。
 
 そんなキスだから快感と同時にモヤモヤとした疑問が膨れ上がる。
 だけど私の感じる違和感に気付かない希彦は一層舌の動きを激しくしていく。

 私の逃げる舌を捉え絡めたり歯茎に舌を這わせたり…必死で自分のものにしようと求めているような感じがした。

 それが私の中の違和感を更に増長させる。


 ああ、でもこういう事自体が『求める行為』なんだから自分のものにしようって感じるのが普通なのかな?

 私は口の中を這いまわる希彦の舌をに身を強張らせながらそんな事を考えた。


 こんな風に考えれるなんて変なの。
 2回目の余裕なのかな?

 …って、そんな余裕を感じる間に逃げなきゃ!
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