犬神さまのお嫁さま

　「楓ちゃーん、朝ごはん出来たわよー！」



　パタパタと廊下を小走りする足音とほぼ同時ににドアがバーン！と開かれる。


　開かれたドアの先には、――ママ！！

　ちょ、こんな状況で！？


　まず私の頭に出てきたのはそんな感想。

　そしてその後秒速0.03の高速インパルスで「どうやってこの状況を説明しよう」という考えが頭の中に飛び込んできた。

　そりゃあそうでしょ、ママはドアを開けて直後からずっと私達を見てポカンとしてるし。


　全裸の(下半身はタオルケットで隠してるけど)希彦が娘の私のベッドの上で迫ってたらそうなるよね。

　ママは希彦の事、気に入ってるようだけど居候だし、私とカレカノなわけでもないんだから。


　どうやら希彦もこのタイミングでのママの登場は予想外だったらしい。

　さっきまでの熱っぽい表情は一気に消え去って硬直している。


　…一応、マズイと思ってるん…だよね？