犬神さまのお嫁さま
 このまま放っておけば途方も無く脱線していきそうな予感がして私は仕切り直した。



 「と・に・か・く!嫌なもんは嫌!」

 「えー勿体なーい。折角イケメンであんだけ言い寄ってんのにー?」

 「美沙都、そこまで言うなら貴女が付き合えば?」

 「そ…そうよ!大体私である必要なんかないじゃん!いきなり指名されただけだし!」



 菜穂の突然の振りに私はこの機を逃さないように畳み掛ける。

 だってあの時、犬神が私を指名したのなんて特に理由なんて無さそうだった。

 『一目惚れしました!』って感じでもなかったし。

 単に転校初日に目立とうとパフォーマンスしただけじゃないかと思う。

 …まぁパフォーマンスならこんなに長くする必要は無いと思うけど…。
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