犬神さまのお嫁さま
 凄く落ち着く匂いに私は一瞬ぽわんとしたけど肩に巻かれた腕と横顔に感じる気配にすぐ意識を戻した。



 「犬神!!」

 「どうした、嫁?」



 私の剣幕なんてどこ吹く風といった感じでのほほんと犬神が答える。

 ていうかあんたの嫁なんかじゃないから!!



 「ちょっと放しなさいよ!」

 「いやだね、放したら殴られる。だから後ろからこうやってるんじゃないか」



 そう言って犬神は私の肩に巻きつけていた腕をずらして二の腕を拘束するように抱きしめてきた。

 ちょ、ちょっと!微妙に胸に当たってる!!
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