犬神さまのお嫁さま
 「マジで?菜穂っち?!」

 「…美沙都、そのアホっぽい呼び方止めて頂戴。呼び捨てにされた方がまだマシだわ」



 冷たくぴしゃりと言い切る菜穂に美沙都はごめーんと軽く謝る。

 因みに『菜穂っち』は去年からずっと美沙都が呼んでるニックネームで、呼ばれる度に菜穂は注意してるが美沙都は毎回ごめーんと謝るだけで一向に治す素振りを見せない。

 流石、自他共に認める『適当女王』。



 「菜穂、本当に男子なの?」

 「貴女、私を何だと思ってるの?クラス委員長よ。今朝職員室に呼ばれて宮根先生に紹介されたわ」

 「えー菜穂っちだけズルイずーるーい!」



 思わず『菜穂っち』と呼んでしまった美沙都を菜穂が睨む。その眼力に気圧された美沙都は苦し紛れに話題の矛先を変えた。
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