STAR MINE


幾らかの時を経てユキノが、あ、と漏らした。

「これ〜って〜関係〜あるかなぁ〜」

ユキノが指したページをチグサが覗き込んだ。そこには現在はすでに取り壊されている旧校舎ついて記されたものだった。


「1912年・・明治ですわね。でもこれのどこが?」

「こ〜の〜写真〜小さいけど〜よく〜見て〜」



チグサは目を見開き史書を持ち上げた。年代物であるし、貴重な資料なのだが・・・

お嬢様はユキノの危惧をものともせず粗略に扱っている。そしてゆっくりとそちらを見やり小首を傾げ微笑んだ。

なんだか嫌な予感のするユキノは後ずさると、程なくしてチグサが口を開く。


「この資料、持ち出しましょうか」



え・・、とユキノは裏表紙に貼られた“持ち出し禁止”のシールとチグサを交互に見て、最後に仕事中の図書委員を見た。

嫌な予感は的中である。



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