【詩集】巡伴記
『雨』
つぶひとつ
ただに なりたくて
ただに なりたくて
窓枠に切り取られた
不透明な世界の中で
時折ガラス板にぶつかり
懸命に 存在感を示す
雨粒だけが鮮明だった
天から放たれた彼らは
大地を目指して駆け昇る
何を想うかは計り得ない
ただ 一つの目的のために
その命(メイ)をまっとうする
風に吹かれ
流されようとも
歩みを止めず
突き進む
その純粋さに
ただ 憧れる