【詩集】巡伴記
『a caricature』
自由に描くような総てが思い通りの未来なんてあるはずもなく
暗闇の中で光を探すようなものなんだ
下地は黒
潔いくらいの黒がいい
ほんの少しの白い隙間を見つけたら
何色にしよう
なんて考えてる暇もなく
青を手にとる
いや
手にとったのが青だった
吐息を撫でるように
手の平で押し拡げた
赤で描くのは
太陽じゃない情熱じゃない
愛でもない
涙
総てを語れる雨粒に
命を与える
落雷に喚ばれて黄色い光が射しこんだ
心が露になるぞ
群青のヴェールで覆ってしまえ
ほら
透明色に夜が明ける
不様な壁画が出来上がる
嗚呼
私そのものじゃないか
2008.5.15