暴走彼氏。【未完】
次の日。
奏太さんは今日も迎えに来た。
何事もなかったかのように。

奏太さんは、あたしが向こうに行ったこと、知ってるよね?

悲しかったけど。
あたしも何事もなかったようにしなきゃ。

だけど、バイクに乗ったときからバレていた。

「お前、なんかあったのか?」

敏感すぎる奏太さんの低い声に、
あたしはドキッとしたけど、

「別に何もない」

と答えた。
奏太さんはそれ以上聞いてこない。
『何もない』って言って信じられるわけないのに。
これが奏太さんのやさしさかもしれない。


―――こんなにもやさしいのにどうして?

聞きたい言葉を必死に押さえ込んだ。

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