「「お前が…」」 (明&慶悟)
島崎 慶悟
昨日は…全然眠れなかった。
理由は分かる。
明がいなくなるから。
産まれた時から隣にいた明。
小3から一緒に始めた野球。
俺は投手で、明は捕手で、
一緒に甲子園行こうなって……。
リトルの時代の口癖だった。
捕手の明はいつも前にいる。
その大きな体で、俺の投げた球を捕ってくれる。
そんな明が、いなくなるんだ。
隣にも、前にも………いなくなるんだ。
もぅ…明は、…俺の球を捕ってくれない。
捕れない。
いつも隣にいて―――――
頼もしかった明。
俺、捕手はお前しか知らねぇんだよ。
吉村工業の市川も凄かった。
すぐに俺の球を捕るんだ。
18年間の…明の努力を……簡単に超えられた様で…
悔しくて、悔しくて―――……
腹が立った。
でも、それは市川の実力だから――。
俺は…明が最高だと思ってる。