愛なんて存在しない
「桔梗…辞書持ってきた?」
「持ってきた!
…まぁ偶然だけど…」
「マジ?私忘れたー…」
教材を持ち、会話をしながら教室に入る
うちらが仁菜の席にいきくだらない話を話していると、3人の男子が近寄ってきた
「上沢、今日お前日直!」
眉をよせながら仁菜の頭を軽く叩いたのは、茎本 尚斗(クキモト ナオト)
うちのクラス…B組のムードメーカーで、男子の中では一番優しい
他の2人は、隆弥と…
…麻己君
「は、日直?
知らんし」
「ほらよ、日誌!」
「スルーかこのやろ」
仁菜と茎本は仲が良い
茎本は仁菜を女って思ってないらしく、よく肩をくんでいるのを見るくらい
2人はしばらく言い合いっぽい事をしていたけど、結局仁菜が折れたみたいで、渋々日誌を受け取った
「じゃ、ちゃんと書けよ」
「えーっと
『今日は茎本がウザかった』」
「おい!!」
やっぱり、2人の会話はコントみたい
うちが2人を見ながら笑ってると、ふいに肩を軽く叩かれた
…麻己君だ
「橘、これ」
「あ…」
麻己君が差し出してきたのは、朝渡した数学のプリント
すっかり忘れてた…