愛なんて存在しない


「…いただきます」



小さく呟いてから一口口に運ぶ
あ、今日の味噌汁は上手に出来た

自画自賛、いつもの事


1人でパクパクと食べていると、トントントンと階段を降りる音が聞こえた

あれ…蓮兄起こしちゃった





―――ガチャッ




「はよ…今日は早く行くのか…?」

「オハヨー、蓮兄
うん…ゴメンね、起こしちゃって」

「おー、大丈夫大丈夫
…良い匂い…
味噌汁少し食わせろ我が愛しの妹よ」



そう目をこすりながらこっちに歩いてくる蓮兄

チャームポイントの茶色いサラサラ短髪は、寝癖で少しボサボサ
…妹のうちが言うのもなんだけど、ちゃんとすれば格好いいんです、モテるんです、蓮兄



「なーあー…」

「ちっさい鍋に入ってるから、自分でよそってね」

「…妹よ、いつからそんなひねくれた娘に…」

「何処が?」



クスクスと笑いながら食器の片付けをしようと立ち上がると、蓮兄が先にうちの食器を取った



「洗っといてやるよ
学校、行ってきな」

「…サンキュ、蓮兄」



ニカッと爽やかに笑う兄は、やっぱり格好いい

…先に言っておくが、断じてブラコンではない



「じゃあ、行ってきます」

「いってらっしゃい!」



玄関に走っていき、靴を履くと勢いよく外に出た




 
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