フリージア
「にしてもなぁ……」


私は無意識のうちに頭をかく。
こんなワケの分からない不気味な場所まで来る気じゃなかったのに。

どうやって病室に戻ろう?

さすがにこの歳で迷子になったとは恥ずかしくて言いだせないので、なんとしてでも自力で戻る決意をする。

人気を避けていたらここにたどり着いたんだ。

なら、話は簡単。
人気の多い場所を目指せば勝手に元の場所へ戻れるはずだ。

くるっとUターンをして、今来た廊下を引き返す。

けれど、どうやらその考えは甘かったらしい。
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