フリージア
院内は、思っていたよりも複雑な構造をしており、細い通路や分岐がたくさんあった。

一体、どうやって自分がここまで歩いてきたのかさえ疑問に思ってしまうほどだ。

勘に任せて適当に進んで行けば行くほど、どんどん奇妙な通路に迷い込み、事態はますます悪化していった。

耳を済ませば、微かに機械の作動音まで聞こえてくる。

もしかして、関係者以外立ち入り禁止区域とやらに入ってしまったのだろうか。

霊安室なんかに辿り着いてしまったらどうしよう? 

ぶるり、体が震える。
嫌な想像をしてしまった。

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