フリージア
前からゆっくりと歩いてきた影の正体は、私と同じ年くらいの男の子だった。

なんでこんなところにいるんだろう? という疑問が頭をかすめたが、それよりも今は病室に戻るという大事な使命がある。


「えっと……あ、そうだ。売店まで一緒に行かない?」


“道に迷ったから助けて”なんて言うのは、なんとなく気恥ずかしいので、そう気さくに話し掛ける。

我ながら演技派。
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