フリージア
「いいよ。売店の途中までなら案内してあげる」


男の子は嫌な顔一つせず、にっこりと笑ってそう言った。

案内してあげる、なんてまるで私が道に迷っているかのような言い方だ……

って、道に迷ってるんだけど……

どうやら、彼にはお見通しのようだった。

多少、恥ずかしくなったけれど、それでも、これで病室に戻れると思うと安心した。


これが私と彼の出会いだった。
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