フリージア

――あの日。

私の入院が決まったあの日。

私は、いつものように学校に向かう準備をして、いつものように玄関に向かった。

そして、いつものようにドアノブに手をかけた瞬間だった

原因不明の鋭い痛みが私の胸を突き刺し、息が出来なくなったと思ったら、急速に意識が遠のいた。

あまりに突然すぎて詳しいことはまったく覚えていない。

ただ母の慌てふためく声と救急車のサイレンをうるさいと思ったことだけは、なぜだか分からないけど今でもはっきり思い出せる。
< 2 / 89 >

この作品をシェア

pagetop