フリージア
そうこうするうちに、話が終わったのか男がその場を立ち去っていった。

ユウタは律儀にその後ろ姿に頭を下げ、そして、頭を上げると心底疲れたかのような深い溜息をついた。

いったい、なに話してたんだろう?

そう思いながら、男とは逆の方向にうつむいて歩き出そうとしたユウタを慌てて呼び止める。


「ユウタ!」


私の声にユウタが驚いたように振り返る。
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