フリージア
どちらかというと私は自分が話すよりも人の話を聞くほうが得意だ。

だけど、ユウタがあんまり期待の篭った目で見つめてくるから、なにか楽しい話題がないかと頭の中で考えてみる。

でも、結局なにも思いつかず、私は仕方なく、入院する前のこと、学校でのこと、友達のこと、家族のこと――思いつく限りの話をした。

それはきっととても普通でつまらない話だったはずだけれど、ユウタは私の話の一つ一つに大げさなまでに一喜一憂してくれた。

――もしかしたら、ずっと病院で暮らす彼にとっては大げさではなく本当に私の話が驚きの連続だったのかも知れない。

私は気分が良かった。
今まで自分の話をこんなにも食い入るように聞いてくれる人はまわりにはいなかったからだ。

友達と言っても所詮上辺だけのものだったのかもしれない。

それを当たり前だと思うようになったのはいつからだったんだろう?

ともかくユウタの存在は、私が忘れかけていた本当の友達というものを思い出させてくれた。
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