フリージア
私は時間が経つのも忘れてユウタと語り合った。

しばらくそうしていると、不意にユウタの胸ポケットから奇妙な電子音が聞こえた。

ケータイの着信音にも似た音。
ユウタはその音にビクッと反応した。

何事かと顔を覗き込むと、さっきまで浮かんでいた笑みは水が引くようにサーッとユウタの顔から消えていた。


「……どうしたの?」


怪訝に思って問いかけるとユウタはムリに引き攣った微笑を浮かべた。
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