フリージア
もっと大変なことを打ち明けられるのかと思っていた私は肩すかしを喰らった気分になる。

――さっきのおばさんの持ってた花?

私はおばさんの歩いていった廊下を振り返る。

もう結構距離が離れていて、かろうじて黄色いものが見えたけど、その名称までは分からない。

私は首を振る。


「知らない」
「そっか……」

「なんで?」
「綺麗だったから」
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