フリージア
答えたユウタは残念そうに肩を落としている。

そんなに綺麗だったかな?

私はおばさんとすれ違った時の光景を思いだそうと記憶を辿る。

思い出せれば、花の名前も分かるかもしれない。
ユウタに教えてあげられるかも知れない。

そう思った。

でも、それはうまくいかない。
黄色い花だったのは確かだけど、はっきりとは思い出せない。


「あ、そうだ。もしかしたら、売店に売ってるかもしれないよ」


あのおばさんがお見舞いに来た人なら売店で花を買った可能性もある。

思いついて口にした言葉にユウタの表情が一転明るいものになった。
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