フリージア
そもそも、ユウタは病気のために隔離されているんだろうか?

出会った場所が場所だったので、私は勝手にそう思いこんでいた。

だから、ユウタがあの薄暗い廊下を迷わず歩けることも、廊下の先にある秘密の裏庭を知っていることも不思議に思わなかった。

でも、あの男の反応を見る限り、ユウタは隔離されているわけではないみたいだ。

もしも、隔離されているんだったら、ユウタが私から離れるまで悠長に待ったりしないだろう。

すぐさま看護師を呼んで私たちを引き離していたはずだ。

そうしなかったのはそうする必要がなかったからに違いない。

じゃあ、あの男は……
ううん。ユウタは一体、何者なの?

そこまで考えた時


「芽衣!」


ユウタが走って私の元にやってきた。
彼はそのまま私の隣に座る。
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