フリージア
「もう話は終わったの?」
「……っていうか、ゴメン」


私の言葉に、ユウタは唐突に頭を下げた。

それだけで、彼がなんに対して謝罪しているのか分かったけど、念のために尋ねてみる。


「なに? どうしたの?」
「やっぱり売店には行けなくなったんだ」


心底、がっかりしたような声からは、自分の意志ではないというユウタの本心が見て取れる。

とすると、さっきの男の指示か。
あの男が主治医だとしたら、その言葉はユウタにとって絶対だろう。

でも――
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