フリージア
二つの相反する思考が私の頭を破裂させようとしている。

さっきみたいにユウタの顔を見つめることが、もう出来なくなっていた。

見てしまったなら、きっと、私はワケの分からない恐怖に駆られて逃げ出してしまう。

永遠に彼から背を向けてしまう。


「芽衣、大丈夫? 芽衣?」


ユウタの声がエコーを帯びて聞こえる。

私は今きっと死人のような顔色をしているんだろう。
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