フリージア
院内を歩き回りながら、私は小学校の時の遠足気分を感じていた。

勝手に病室から抜け出したスリルと、初めて視界にうつる世界が私を高揚させる。

医療技術が発達した現代ではこんな風に病院内を歩く機会は滅多にない。

軽い病気は一日で治ってしまい、よほどのことがない限り、入院なんてことはなくなったからだ。

かくいう私は、実を言うと病院にお世話になること自体、はじめてだ。

はじめてが入院というのもそうそう出来ることじゃないだろうけど、私らしいといえば私らしいかもしれない。
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