フリージア
「……顔色が悪いよ。病室に戻った方がいい。明日、僕が助けてあげるからね」


ユウタは私の顔を覗き込みながらとても心配そうに言葉をかける。

彼の優しい心配り。

だけど、それは私にとって、死刑宣告と同意だ。

認めたくなかった、最悪の考えが最悪の事実となって突きつけられた最悪の瞬間だったから。


――ユウタが命を失う理由は、私が彼の命を奪うからなんだ―――――


冷たい汗が背筋を伝う。

私は理性を総動員させて、ともすれば、気を失いかけそうになる状況をこらえる。
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