フリージア
「何のんきなこと言ってんの!? ユウタはもっと生きたくないわけ? 私のせいで……明日、殺されるちゃうんだよ!?」

「……芽衣の言ってることはよく分かんないよ。だって、誰かの役に立つのなら、命を捨てでも実行すべきでしょ?」


当然のようにそんなことを言うユウタに私は唖然となった。

きっと、彼は自己犠牲の倫理を刷り込まれながら育っているのだ。

自分が傷ついても、他人を助けることが当然だと、そう誰かに教えられてきたのだ。

臓器提供のためだけに作られた存在だから……

ただひたむきに誰かのために――
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