フリージア
ふわっと優しく私の手を握ってくれる。
温かくて安心する。

このままこうしていられるような気さえしてくる――

なのに、それなのに、私の耳には聞きたくなかった悲しい言葉が聞こえてきた。


「――だから、その言葉だけで十分なんだよ。こんなことして、ごめんね。でも、きっと僕が助けるから芽衣は安心して眠ってて」


その言葉をきっかけに、私の意識は薄れていった。

最後にもう一言ユウタがなにかを言ったような気がしたけれど、私の耳にはもうはっきりとは届かなかった。
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