フリージア
医者は、柔らかな笑顔を浮かべていたが、ロビーにいた患者と同じように目だけが笑っていない。

それが、事実を物語っている。

私がユウタのことを誰かに漏らさないか不安なんだろう。

私は、どうするべきなんだろう?

このまま彼のことを忘れてしまったほうがいいのかもしれない。

なにも知らない振りをして
なにもなかったかのような振りをして

……それでも、ユウタのことを誰かに尋ねずにはいられなかった。
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