フリージア

こんなことなら、ユウタと出会わなければよかったんだろうか?

あの時、“安静にしていて下さいね”というナースの言葉を忠実に守っていれば、私は苦しまずにいられたんだろうか?


そんな思いが頭の中を駆け巡る。


なにも知らなければ――
今さら、そんなことを考えても仕方ないのに。


私はユウタの命を奪った。
そして、彼はそれを当然だと考えていた。

その事実は、決して変えられない。
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