フリージア

「この花、きれいだね」


ありえない空想を浮かべる頭の中に、ユウタによく似た男の子の声が入ってきた。


――けっこう、きれいだったんだよ


驚いて声のした方向に目を向けると、ガラスケースのフリージアを前に母親らしき女性に笑っている男の子がいた。

黄色い花。あの花だ。
ユウタが、名前を知りたがったのは――
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