フリージア
ユウタは初めてできた友人として私のことを見ていてくれていたんだ。

だから、私を見殺しには出来なくて、自ら死を選ぶようなことをした。

誰よりも私のことを思って心配してくれていた。


「私、バカだ……」


そんなことに、今ごろになって気づくなんて――


今まで枯れていたものが堰を切ったようにあふれ出す。

嗚咽が漏れる。
1人の時ならまだしも、こんな人の多い場所で泣いてしまうなんて自分じゃないみたいだ。

周りに気づかれないように、流れ落ちる涙をおさえ病室に戻る。
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