148㎝の王子様
この場所がわかったのは『人体模型』のおかげ。

それがある場所っていったらここしかないもの。

あたしは膝からがっくり床に倒れた。

そして、ぺたんと床に座った。
とまっていたはずの涙がでてきて、視界がぼやけてく。

「…っ。な…んで…。いつき…が…」

声が震える。震えてうまく話せない。

ふと思い出した。

あたし…。ここでいつきを好きだって気付いたんだよね…。

いつきに抱き着いて。

あのときの抱き返してくれたいつきの感触が体から離れない。

安心した。すごく。すごく。

愛しいと思った。



あたし…。いつきのこと諦めなくちゃなんないのかなぁ…。

「…嫌だよぉ……そんなの…!」

嫌だ。諦めるなんて。

「…っ。いつき……」

涙はとまることを知らなくて。溢れでてくるばかりで。

「いつき……。大好き…」

あたしは糸が切れたように泣き続けた。


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