148㎝の王子様
ううん…。束莎から逃げたいんじゃなくて、あたしは真実を知るのが怖いんだ。

「……弱虫。」

ぽつりと呟く。弱虫。今のあたしにぴったりな言葉。

今は放課後。あたしはてくてくとまたあの場所に向かっていた。

だけど………

「あっあの!!待って!!」

誰かに声をかけられた。歩いていた足をとめた。

「吉野千春ちゃん…だよね??」

その娘はあたしの顔を覗き込むとふんわり笑った。


**********


「……ここでいいかな??」

「……うん。大丈夫」

あたしのその娘じゃなくて、真理ちゃんは裏庭にきていた。

そして芝生??いや、草の上に二人で腰をかけた。

「あのね… わたし千春ちゃんに話したいことがあって…」

真理はとっても小さい声で呟いた。

「あの…… 沢村君のことなの…」

真理ちゃんは言いにくそうに口をもごもごしていた。

「……っ…!」

逃げちゃだめ。涙腺が緩んでいくのがわかる。

けどぐっとこらえた。もうこれ以上逃げたくない。

「あのね…。わたしと沢村君は付き合ってないの…」

「……………」

「ちっ千春ちゃん…??」

次の瞬間あたしの目から涙がぽろぽろと零れた。

「……っ…!」


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