148㎝の王子様
静かな廊下には俺達の足音が響いていた。

二人とも一言も話さなかった。

だから俺は、平井が吉野だったら……

と考えてしまった。

だー!!!俺なんで吉野のことばっか考えてんだよ!!

「……さっ沢村君??どうしたの??」

俺の動きがあやしかったのか平井が心配な様子で聞いてきた。

「…いや…。なんでもない…」

なにやってんだよ!俺!!

多分……。俺の顔は真っ赤だと思う。

『いつきって意外と純情なんだね』

ふいに肝試しのとき吉野に言われた言葉を思い出した。

自然と笑みが零れた。

……。やっぱ俺吉野のこと考えちまうんだな…。

俺はふいに足をとめた。

「…きゃっ!沢村君??」

俺が足を急にとめたから、びっくりしたのか平井は声を漏らした。

きっと…。吉野だったら”うげ”とか”ひょわ”とか言いそうだな…。


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