148㎝の王子様
「……まって!!束莎!!まってってば!!」

――パシッ

やっとのおもいで束莎の腕を掴んだ。

お互い沈黙だった。

けど、束莎が酷く泣きそうな顔でこっちを振り向いた。

「……千春…どうしよぉ…あたし…山本に告白しちゃった…」

「…束莎…」

なにも言葉がでてこない。

情けない…。けどあたしができることは…

「加藤!!!!」

後ろから声がした。この声はきっと、いや絶対山本君だ。

束莎の肩がビクッと揺れた。

そして束莎はまた逃げだそうと足をだした。

「束莎。逃げちゃだめ。逃げちゃ…だめ。」

あたしはぐっと掴んでいた腕に力をくわえた。

あたしができることは束莎が後悔しないように応援すること。

「束莎あたし…いくね。大丈夫だよ。きっと。」

束莎に優しく語りかけた。

「…もし、万が一だめだったらあたしの胸かしてあげるから!!」

そういってあたしは駆け出した。

束莎…。がんばれ。

そう思いながら。




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