148㎝の王子様

いつきside

「…おわっ!!」

山本が下駄箱を開けたとたん驚いた声をあげた。

見ると、たくさんラッピングされた袋があった。

すげーな…。相変わらずのモテようの山本。

「袋、もってくりゃよかった…」

山本はがっくり肩を落とした。

今日は、“バレンタインデー”。女子達が昨日キャーキャー騒いでたな。

そう思いながら下駄箱を開けると、チョコが四、五個入っていた。

びっくりした。まさか入ってるなんて思ってなかったし…。

「おー!入ってるねぇ!いつき君!」

山本が茶化す。両手いっぱいにチョコを抱えて。

「お前…嫌みかこんにゃろー!!!」

そう言って山本を追いかけた。

山本は笑いながら走っていく。

けど、山本は走りながらもチョコを貰っていた。

「やっぱモテんなあいつ…」

あらためて現実を思い知らされた日だった。

――ガラッ

教室に入るといっきにクラスの男達が俺に集まってきた。

『いつき!!何個貰った??』

「四、五個だけど……」

すると、勝った!だの、負けた!だの言っていた。

なんだぁ…??

『おーおー!!それよりさ、吉野誰にあげんだろうな!!』

いきなり吉野の名前があがった。


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